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2018.10.18
エコ?フェアトレード?人にも地球にもやさしいエシカル名刺の選び方
「エコ名刺を作りましょう」と「エシカル名刺を作りましょう」と言われて、みなさんはどちらがピンときますか?「エコ名刺」は環境に配慮した紙、例えば再生紙やFSC®認証紙、間伐材を使用した紙が思い浮かぶと思います。一方で「エシカル名刺」と言われても、何だかピンと来ないという方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな「エシカル名刺」についてご紹介したいと思います。
エシカルとは
エシカル(ethical)という単語は、直訳すると「倫理的な」「道徳的な」という意味があります。分かりやすく言い換えると「人や環境、社会に配慮した考え方や行動」、つまり環境問題だけでなく、労働環境や貧困支援、産業振興なども含まれています。
エシカル商品を購入することを「エシカル消費」と言います。エシカル消費は、『自分が欲しいから買う』というだけの一方的な消費ではなく、『商品を購入(消費)することで、その商品が作られるまでに関わったすべての人を、幸せにするためのちょっとしたお手伝い』と解釈するとすごくわかりやすくて魅力的に感じませんか?
人にやさしい名刺
バナナペーパー
人にも環境にもやさしいフェアトレードの名刺を選ぶ
フェアトレードは、製品を作る人の健康と経済、環境保全を支援する「公平な貿易」を実施する仕組みです。バナナ、カカオ、コーヒー、綿花などに加えて、近年では紙の生産も行われています。
「バナナペーパー」は、アフリカのザンビアで生産されたオーガニックバナナの茎の繊維に、古紙または森林認証パルプを加え、日本の和紙技術を用いて作られたエシカルな紙です。途上国の貧困問題と、環境問題を解決したいという想いから生まれました。また、バナナペーパーは国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs/Sustainable Development Goals)」の達成の貢献につながる特徴を持っています。
人へのやさしさ
1作ってくれた人の暮らしや健康を支える
アフリカ ザンビアのエンフエ村に住む女性たちが、バナナの茎の繊維に含まれる水分を除去し、乾燥させる作業を行っています。これらの仕事から得た収入で、安全な飲み水や栄養のある食事を手に入れたり、マラリアを予防するための蚊帳を買ったり、病院に行けたりするようになりました。
2子どもや女性の教育支援につながる
アフリカでは、3千万人の子どもたちが学校に行けず、女性たちの40%以上が基礎教育を受けられません。バナナペーパーの売り上げの一部は女性たちの教育支援にあてられています。また、バナナペーパーからの収入は子どもの就学にもつながっています。
環境へのやさしさ
1廃材の有効活用
バナナペーパーは、今までは収穫時に廃棄されるだけだったバナナの茎の繊維を利用して作られているので、廃棄物の有効活用につながります。通常の樹木が10年から30年で成長するのに対し、バナナの茎は1年以内に再生成長するため、より早い循環で活用できます。バナナペーパーは、強度に優れ、火や水に強く、質がとても良いのです。
2森、野生動物、生物多様性を守る
世界では毎年、日本の国土面積の1/3ほどの森が失われています。バナナペーパーの原料は、バナナの茎の繊維とリサイクルパルプ、または持続可能な森林からのパルプを使用しているため、森林の保護につながります。森林は絶滅危惧種を含む野生動物の生息地であることから、野生動物の保護にもつながります。
ワンプラネット・ペーパー®協議会について
ワンプラネット・ペーパー®協議会は、紙製品メーカーや印刷会社によるイニシアチブです。環境に配慮し、アフリカの貧困層の村に雇用を生み出し、現地の人々の自立を支えるバナナペーパー「ワンプラネット・ペーパー®」の普及を推進しています。その他、フェアトレードや環境と社会に配慮した紙に関する研究、意識啓発を行っています。 "Made in Japan"から"Made WITH Japan"のコンセプトのもと、アフリカと日本の交流、技術や知恵におけるグローバルパートナーシップと、アフリカの持続可能な開発に向けた支援を目指しています。
東北コットンCoC
東北を応援する名刺を選ぶ
東北コットンCoCは、「東北コットンプロジェクト」で栽培された綿(コットン)の茎から採った繊維と、森林認証パルプを原料に使用した名刺用紙です。
「東北コットンプロジェクト」とは、東日本大震災の津波被害により稲作等が困難になった農地で塩に強いとされる綿を栽培し、さらに紡績、商品化、販売まで一貫して行うことで東北での新規農業形態を支援する共同プロジェクトです。
綿の茎を使用したこの名刺は、栽培農家による復興への挑戦を支援しています。
1なぜコットンなのか?
東日本大震災の津波被害により、農地の塩分濃度が上がったため米の栽培ができなくなりました。そこで2011年、津波による塩害が発生した宮城県平野部で、塩に強いといわれる綿花(コットン)の栽培が始まりました。育ったコットンは、プロジェクトに賛同した企業によって、コットンを使った製品の製造・販売活動へも動き始めています。
2栽培する農家の支援につながる
これまでなかった綿畑を東北に作り出すこのプロジェクトは、被災農家からアパレル企業までがTEAMとなって、原料になるコットンの栽培から製品の販売までを行い、農業の再開、仕事を失っていた農家の離農予防や雇用創出などの復興支援を行っています。綿をつくることで、被災地と言われた土地に新たな産業を作り出しているのです。
地球・環境にやさしい名刺
FSC®認証紙
世界の森林保全に貢献する認証紙の名刺を選ぶ
近年、無計画な森林伐採や違法伐採により、世界の森林面積は減少しており、毎年日本の国土の約3分の1に相当する森林が破壊されているといわれています。この現状を踏まえ、森林減少を抑制するために生まれたのが、FSC森林認証制度です。
FSC森林認証制度は、森林を適切に管理し、環境や地域社会に配慮しているかどうかを、第三者認証による徹底したシステムで評価し、認証しています。認証紙の利用促進は、適切な森林管理を行う林業者を支援し、世界の森林保全に貢献することにつながります。
FM認証とCoC認証
FSC森林認証制度には、森林自体の管理を対象とした「FM認証」と、FM認証された木材から伐り出された木材が、加工から流通までの段階において、他の木材と混ざることなく、管理されているかを認証する「CoC認証」があります。森林から消費者までの全過程を "チェーン" でリンクするので、チェーン・オブ・カスタディー、つまり "管理の連鎖"を意味しています。
間伐材紙
地材地消で地域経済の活性化を応援する名刺を選ぶ
森林の木々が成長して森林内が過密になってくると、日光が地表まで届きにくくなります。この状態では木々が健全に成長することは難しくなります。そこで、森林内の木々の一部を伐採することで森林全体を健全な状態に保つための作業を行います。これを間伐といい、その際に伐採された木材を「間伐材」と呼びます。
間伐材を利用した製品には、マークを表示することができます。間伐材の利用促進等の重要性をPRするとともに、消費者の製品選択の手がかりにもなります。ちなみに、このマークは日本の森林資源の保続培養、森林生産力の増進を図ることを目的とした協同組合である全国森林組合連合会が運営しています。
バガス(非木材紙)
木材以外の原料を使った名刺で環境配慮を個性的にアピール
非木材紙は、針葉樹および広葉樹以外の植物繊維を原料としてつくられています。非木材紙を利用することは、森林の過剰伐採を軽減することにつながりますので、環境配慮の取組みを個性的にPRしたい方におすすめです。
また、非木材紙は、木材紙にはない独特な肌合いを持った種類が多いことも魅力です。便箋や卓上カレンダー、包装紙のほか、学園祭やイベントの容器トレイや紙コップに使用されるなど、様々な用途、場面で活躍しています。
非木材紙のひとつバガスは、かつては廃棄されるのみだった、サトウキビから砂糖を絞ったあとの残りカスから作られたパルプを使用しています。
いかがでしたか?エシカル名刺を知っていた人も、いままで知らなかった人も、その紙を使うことで人や環境にどんな影響があるのかを知れば、これまでと違った視点で名刺が選べるのではないでしょうか。名刺だけではなく、封筒やその他の紙製品、洋服や飲み物、食べ物など、エシカルなモノ、コトを一人ひとりが生活の中にちょっとずつ増やしていけば、地球上で起こっている環境破壊や貧困問題などの解決への一歩につながります。まずは自分が共感するエシカルな紙で名刺を作ってみては?
written by Nob Y.